FXにおけるナンピンとは
投資の世界でナンピンが禁じ手といわれるわけ
投資の世界の常識として、ナンピン買いはスカンピンと言われるくらいにやってはならない禁じ手であるとされています。恐らくほとんどの投資家が、実際にナンピンを入れてみて経験していることでしょう。しかしほとんどのケースではスカンピンになってしまい、ナンピン手法の難しさを経験しているでしょう。
それもそのはずで、ナンピンを入れる状況というのは予想に反して価格が動いた場合になり、不利な状況で平均コストを下げるために実施します。そのため、当初のトレードプランからは逸脱しているわけですから、運任せのトレードになっているのです。これでは損失が拡大する可能性のほうが高いことになり、特にトレンドが発生している場合には命取りとなります。
株とFXの違い
ただし、ナンピン買いはスカンピンと言われていたのは株式投資の世界であり、FXでは少しばかり事情が異なります。株の場合には、個別の企業に投資することになりますので株価が飛び安いという傾向があり、長期投資のナンピンでも損失を拡大させる可能性が高くなります。
しかし、FXの場合には個別の企業のような小さい存在ではなく、国の通貨をトレードするわけですから、必ずしもナンピンが禁じ手というわけではないのです。ほとんどのFXの教科書でもナンピンは禁じ手として扱われていますが、場合によっては非常に有効なケースも存在しています。有効なケースとは、予想と反対に動いたので平均コストを調整するためのナンピンではなく、手法として戦略的にナンピンで利益を狙う方法のことです。
FXにおけるナンピン手法
つまり、株式の世界では不利なことが多く、よほどの余裕のある資産家以外はナンピンに手を出さないほうが賢明です。しかし、証拠金取引でレバレッジを効かせられるFXでは戦略的に有効な手法となることがあるのです。もちろん、FXには多くの通貨ペアが存在していますが、その中でもナンピンに向いている通貨ペアがありますし、また、相場状況に応じて、ナンピンを入れるタイミングも重要になります。
これらのことを理解したうえでトレードすると、禁じ手といわれていたナンピンも利益を生み出してくれる売買手法となるのです。
ナンピンに向いている通貨ペアとは
ナンピン手法が有効になるための条件
株式投資でナンピンが禁じ手と言われているのは、株価が大きく動く可能性が高いからです。特に、個人投資家が短期で利益を狙おうとする場合には仕手株などの動きが激しい銘柄を選択しがちですが、このケースではナンピンはまさしく禁じ手です。ところが、著名投資家であるバフェット氏が国際優良銘柄を大量に購入する際には、ナンピン買いは有効な方法となります。
つまり、短期間に大きく動くものというよりは、比較的安定した動きの銘柄の場合には有効になるための条件を満たしているということになります。
動きが安定している通貨ペアとは
FXトレードでは、トレンドフォローが有効であるといわれていますが、これは一方向にトレンドが発生するとその方向に動き続ける可能性が高く、トレンドを見つけることで利益を上げるチャンスは高まるからです。しかし、実はトレンドが発生するタイミングとは非常に少なく、ほとんどの時間帯はトレンドレスのいわゆるレンジ相場が続くことになります。
動きが安定している通貨ペアとは、このレンジ相場の長い通貨ペアで、仮にトレンドが発生したとしてもそれほど大きく動かないものが最適となります。例えば、ドル円のケースですと、ほとんどの時間帯は他の通貨ペア同様にレンジ相場でありますが、米国経済の影響を受けやすい、地政学上の北朝鮮リスク等々の要因により、戦略的にナンピン手法を使うには適していません。
ユーロに関しても同様で、ギリシャやトルコなど多くの問題を抱えており、比較的動きやすい通貨だといえるでしょう。資金力に余裕がある場合には、ドル円やユーロ関連でも有効になることもありますが、そうでない場合には手を出さないほうが無難です。
豪ドルやNZドルに注目
一方向に走りやすい通貨ペアの場合には、相応の資金力がないケースでは証拠金維持に耐えられなくなる可能性が高く、それだけリスクが高いトレードとなります。これに対して、長期的にレンジ相場を形成している通貨ペアの場合には、リスクを最小限に抑えてトレードすることが可能です。
週足・月足・年足などで確認して、比較的動きの少ない通貨ペアを検討することが重要です。ナンピン手法の場合には、テクニカルのみならずファンダメンタル分析も欠かすことはできませんので、なぜ長期的にレンジ相場なのかということをおさえておく必要があります。これらのことから判断して、注目したい通貨は豪ドル・NZドルです。
まず、混とんとしている現状の世界では、共にオセアニア地区という地政学上のリスクが小さいというメリットがあり、さらに高金利通貨という特徴を持ちます。他にも同様の通貨はあるでしょうが、基本的には、テクニカル的にレンジ相場の長いもので、ファンダメンタルズ上も納得できる理由のある通貨が良いです。
FX初心者向きのナンピン手法
FX口座開設する場合の注意点
初心者の場合に新たにFX会社の口座開設をする場合にはいくつかの注意点があります。通常のトレンドフォロー型の場合には、約定力が高くスプレッドの狭いところが良いのですが、スワップトレードやナンピン手法を考えるのであれば、スワップ金利の高いところや取扱い通貨ペア数の多いFX会社がおすすめです。
ナンピン手法の場合には、スワップ金利をとることで非常に有利にトレードすることにもありますので、初心者でも十分対応できるトレードとなります。従って、この手法を利用したいケースでは、口座開設する際には条件を満たしているFX会社を選択することが重要となります。
初心者の場合にはスワップ金利も狙いたい
前述の豪ドルやNZドルの場合には、高金利通貨ですのでスワップ金利も期待できますし、動きも安定していますので初心者向きの通貨となり、豪ドル円やNZドル円などのクロス円も狙い目です。ただし、高金利通貨の場合には、政策金利の変更には非常に神経質な相場展開となることもありますので、ファンダメンタル分析は必須項目となります。
初心者の場合には、トレンドフォロー型で利益を上げられるようになるまでには、相当の期間と授業料がかかりますが、これらのナンピン手法であれば中上級トレーダーともそれほどの差がなくトレードすることができるはずです。
FX中上級者向けのナンピン手法
短期トレードで利用するナンピン手法
そもそもナンピン手法の場合には、トレンドフォローのような短期的な動きを狙うトレード法ではありませんが、比較的よく動く通貨ペアでも有効になるケースが存在します。つまり、ナンピン手法で短期的に利益を狙うという中上級者向けのトレードとなります。このトレードはしっかりと損切りできるトレーダー以外はリスクが高いトレードとなるため、初心者には適していません。
相場の反転時期を狙う
例えば、トレンドが発生したケースでもいつかはトレンドが終了し、相場は反転することになります。多くケースでは、その反転のタイミングを狙ってナンピンを入れて失敗するわけですが、敢えてこのタイミングを狙って、損切りポイントを設定してトレードしようというものです。
トレンドが反転するタイミングというのは、多くのケースではいくつかあるレジスタンスラインやサポートラインとなります。比較的長い足で見たレジスタンス・サポートラインで差がこれ以上はいかないのではというポイントがあれば、そこでナンピンを入れます。
この場合には、レジスタンス・サポートラインを切った場合には損切りすることは必須となりますし、運よく反転した場合でもあまり欲はかかずに速攻で逃げるほうがよいでしょう。
通貨ペアの特性を知っている場合には有効
一見難しそうなトレード手法にも見えるのですが、ボリンジャーバンドの特性や一目均衡表の時間論を知っていると面白いように反転することも多くあります。また、ドル円の場合には、40銭くらいの押しを入れないまま2円20銭前後動いた場合には反転するという習性がありますので、このような通貨ペア特有の癖を知っていると非常に有効なトレード手法となります。